2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルをβ-シクロデキストリンで水溶化し、緩衝溶液中における抗酸化物質のラジカル消去活性を速度論的に評価した。その結果、水溶性ビタミンE誘導体Troloxや(+)-カテキン、アスコルビン酸、コーヒー酸による水溶化DPPHラジカル消去反応はpHの上昇に伴って速くなった。また、マグネシウムイオンの添加によっても反応速度が増大し、律速段階に電子移動が関与することが分かった。さらに、重水を用いたリン酸緩衝液中で速度論的同位体効果を決定しTroloxから水溶化DPPHラジカルへの水素移動反応に量子トンネル効果が関与していることを明らかにした。
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