PrPScのβヘリックスモデルを念頭に、PrPSc凝集体の構築原理を理解するための研究を進めた。その結果、実験データは想定したβヘリックスモデルに必ずしも合致せず、むしろ、近年解明されつつあるPrPSc以外の蛋白質(シヌクレイン、TDP-43、など)の凝集体構造やPrPScの新たに提唱されているモデルに概して矛盾しないものとなった。想定に反する結果だが、新たな視点が開けた。また、凝集体を形成しやすいPrPC改変体を新たに見い出し、この改変体はPrPScモデル構造研究への応用が期待できる。プリオン病の有効な治療薬の開発は容易ではないが、PrPScの構造研究はその道筋に繋がると考えられる。
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