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2019 年度 実施状況報告書

Smad複合体による転写活性化機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K06626
研究機関山梨大学

研究代表者

伊藤 友香  山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (40454326)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードSmad / 転写 / TGF-β
研究実績の概要

TGF-β(transforming growth factor-β)は多様な細胞応答を調節するサイトカインである。TGF-βは転写因子であるSmad2あるいはSmad3(Smad2/3)を活性化し、活性化したSmad2/3はSmad4を含むSmad複合体を形成し標的遺伝子のプロモーター領域に結合し、遺伝子発現を制御する。本研究はSmad複合体との親和性は同程度であるがプロモーター活性化能が異なる2種類のDNA配列を用いて、Smad複合体による転写活性化の必要条件を明らかにすることを目的とする。
2019年度は、Smad複合体とDNAの結合について、EMSAにより検討した。CAGAC配列を3個持ち、TGF-β応答性のないDNA配列(3xCAGA)と、CAGAC配列を6個持ちTGF-β応答性を示すDNA配列(6xCAGA)でのSmad複合体の結合を比較したところ、3xCAGAと比較して6xCAGAではより大きなDNA-Smad複合体が検出された。次に、Smadと協調して働く転写因子であるTCF7L2の結合配列(TTE)と3xCAGA配列からなるレポータープラスミドを用いてTGF-β依存的な転写活性化について検討した。TTEあるいは3xCAGA単独ではTGF-β応答性はなかったが、この配列を並べることでTGF-β依存的な転写活性化がみられた。以上の結果から、3xCAGAはSmad複合体が結合する転写活性化能を持たない配列であるが、この配列が2個あるいはSmad cofactor結合配列と共存することでSmad複合体2ユニットあるいはSmad複合体とSmad cofactorの1ユニットずつからなる複合体が形成され、TGF-β依存的な転写活性化能を持つと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TGF-β依存的な転写活性化には、DNA上にSmad複合体2ユニットあるいはSmad複合体と他の転写因子1ユニットずつで存在する必要があることを見いだし、論文報告した。

今後の研究の推進方策

今年度は、2019年度に見いだしたSmas cofactorとSmadによる転写活性化とSmad-Smad cofactorによって制御される標的遺伝子について検討を行い、TGF-β依存的な転写制御のさらなる解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

メーカーのキャンペーン等により、当初予定より物品費を抑制することができたため。残金は、物品費の一部として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] A comparative analysis of Smad-responsive motifs identifies multiple regulatory inputs for TGF-β transcriptional activation.2019

    • 著者名/発表者名
      Itoh Y, Koinuma D, Omata C, Ogami T, Motizuki M, Yaguchi SI, Itoh T, Miyake K, Tsutsumi S, Aburatani H, Saitoh M, Miyazono K, Miyazawa K.
    • 雑誌名

      J Biol Chem.

      巻: 294 ページ: 15466-15479

    • DOI

      10.1074/jbc.RA119.009877.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] TGF-βシグナル伝達分子SmadとETSファミリー転写因子による協調的な転写制御2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤友香、小俣千帆、三宅邦夫、齋藤正夫、宮澤恵二
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] Transcription activation by TGF-β through the Smad-binding element and CAGA motifs2019

    • 著者名/発表者名
      Yuka Itoh, Daizo Koinuma, Masao Saitoh, Keiji Miyazawa
    • 学会等名
      The TGF-β Superfamily Conference: Signaling in Development and Disease
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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