研究課題
鉄イオン依存的な細胞死(フェロトーシス)の制御はがん細胞の生存戦略となるため、新たな抗がん剤のターゲットになる恒常性維持機構である。フェロトーシスは、細胞内還元型グルタチオン(GSH)のレベルにより抑制される。細胞内GSH濃度の維持するためにシスチントランスポーター(xCT)により細胞外のシスチンを細胞内に取り込みが必要であることことからxCTを抑制するとフェロトーシスが誘導される。申請者らは、これまでに、HSC70/HSP70のコシャペロンであるBAG-1がヒト細胞の酸化ストレス抵抗性に必要であることを見出してきた。本研究では、BAG-1のノックアウト(KO)がxCT阻害剤Erastinに感受性となることを見出した。BAG-1 KO によるErastin感受性は、鉄のキレート剤であるDeferoxamine mesylate、フェロトーシス阻害剤であるFerrostatine-1、および培地中のシスチンをシステインに還元しその取り込みを促す2-メルカプトエタノールの添加によってキャンセルされることから、BAG-1の欠損はフェロトーシス感受性に寄与すると考えられた。また、これまでに酸化ストレス下で酸化されるBAG-1のシステイン残基で酸化ストレス抵抗性に必要なシステイン残基を同定している。このシステイン残基に変異を導入したBAG-1をBAG-1 KO細胞に戻してもフェロトーシス抵抗性に必要であることから、BAG-1が細胞内酸化ストレスを認識してフェロトーシスを制御していると考えられた。今後、BAG-1がeIF-2αが脱リン酸化を制御する機能、および小胞体に分布する蛋白質の安定性に寄与する点からこの分子メカニズムを解明する。
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