敗血症は極めて予後不良の疾患であるが決定的な治療法がない。本研究は、無機ポリリン酸の敗血症モデル救命効果の分子機構を明らかにすることにより、敗血症の新規治療法開発に繋がる基盤を整備することを目的とする。 マウス盲腸結紮穿刺腹膜炎モデルに対して、平均重合度150のポリリン酸は顕著な延命効果を示した。ポリリン酸はモデル動物において肺血管内皮細胞の透過性を抑制し、TNF-αによる血管内皮細胞のICAM-1の発現誘導と単球細胞の接着を阻害した。従って、ポリリン酸は少なくとも一部、ICAM-1誘導の抑制を介して血管内皮細胞の機能維持と臓器障害を回避し、延命効果をもたらすものと推察された。
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