研究実績の概要 |
我々は、脂質代謝酵素であるスフィンゴミエリン合成酵素2 (SMS2)がヒト免疫不全ウィルス (HIV) と宿主細胞の膜融合を促進することを明らかにした (Hayashi et al., J. Biol. Chem., 2014)。SMS2 は形質膜上の情報伝達分子が集積するマイクロドメインに局在することから、シグナル伝達を担う様々なタンパク質と相互作用(ヘテロオリゴマーを形成)し、HIV感染に関与することが考えられる。2018年度は、解析の過程で、SMS2のアイソフォームタンパク質であるSMS1とグルコシルセラミド合成酵素(GCS) が近接することを見い出し、SMS1とGCSのヘテロ複合体はSM産生を正に制御することを明らかにした(Hayashi et al., J. Biol. Chem., 2018)。 2019年度は、近位依存性ビオチン標識法を用いて、SMSの近接タンパク質を同定した。今後は、同定した近接タンパク質の中からSMS活性・局在に影響するタンパク質を探索し、SMS2のHIV感染の制御機構を明らかにしていきたい。
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