研究課題
本研究課題は、 我々が同定したラミニンの活性ペプチドを高分子多糖に固定化したペプチド-マトリックスを人工基底膜として開発することを目的としている。本年度は、約20種類のラミニン活性ペプチド-マトリックスを用い、神経幹細胞の分化を評価した。数種類のペプチド-マトリックスが神経への分化を特異的に誘導しバイオマテリアルとしての有用性を見出し、Exp Cell Res誌に報告した。また、インテグリンを介した細胞接着におけるペプチドの環状化効果を解析するため、ラミニンα鎖LGモジュールのE-Fループ領域由来の3種類のインテグリン結合ペプチドに焦点を当て、それらの最小活性配列を同定した後、ジスルフィド結合を利用して環状ペプチドを合成して細胞接着活性を評価した結果、環状ペプチドは直鎖状ペプチドに比べて細胞接着活性が大きく向上することを明らかにし、J Pept Sci誌に発表した。さらに、エラスチン由来のペプチドの重合体(エラスチン様ペプチド)をマトリックスとして用いてバイオマテリアルへの応用を検討した。このエラスチン様ペプチドは、低温で溶解し、高温で凝集してコアセルベートを形成する。5種類の代表的なラミニン活性ペプチドをエラスチン様ペプチドに結合した複合体の熱応答性や細胞接着活性を評価した。熱応答性を有し細胞に対して受容体特異的に結合するラミニン活性ペプチドとエラスチン様ペプチドの複合体を開発することに成功した。さらに、これらのペプチドを混合することにより、更に強い活性を得ることに成功した。これらの成果の一部はFASEB J誌に報告した。その他、我々が発見したジストログリカンに結合するラミニンペプチドを用いて作製した遺伝子キャリアーやリポソームが筋特異的に送達できることを確認し、J Control Release 誌に報告した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
J Control Release
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