本研究により、臭化難燃剤として広く使用されているTBBP-Aが、脂肪細胞の脂質-ケトン体に代謝に影響を与える環境由来物質である可能性が明らかとなった。また、その指標が従来は脂質代謝の余剰物質としてしか見られていなかったケトン体であること、申請者らのグループが独自に見出したケトン体利用酵素AACSがそれに深く関与することは、本研究の独自性を示すとともに、既存の研究グループでは明らかにし得なかったデータを多く含んでいることを示している。従って、今回明らかになったTBBP-Aの新たな作用の詳細な検討は、環境汚染が人間にもたらす新たなリスクを解明していくうえで、極めて大きな社会的意義があると考える。
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