研究課題/領域番号 |
18K06645
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
葛原 隆 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (00260513)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CCN2 / ジアジフェノライド / iPS細胞 / 神経前駆細胞 / 神経栄養因子 / バングル |
研究実績の概要 |
前年度までに植物由来の低分子性の神経栄養因子ジアジフェノライドと骨分化に関与するタンパク質CCN2の、ヒトiPS細胞由来の神経前駆細胞に対する神経突起伸長や細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質リン酸化の研究から、骨分化と神経分化を結びつける新規な研究結果を提出することができた。さらにその発展として、ジアジフェノライドと同様に低分子性の神経栄養因子であるバングルについて、培養細胞系において神経細胞に分化誘導時にどのように遺伝子発現の変動がおきるかを包括的遺伝子発現解析により検討した。 インドネシア産食用植物Zingber purpureumはショウガ科に属する多年草で、インドネシアでは食用だけでなく、古くから伝統生薬ジャムとして病気の治療や健康維持を目的として広く用いられている。Zingber purpureumには、いくつかの特徴的な成分があり、フェニルブタジエンのダイマーであるバングルの幾何異性体である trans-バングレンと cis-バングレンが含まれている。バングルの神経栄養因子様活性作用の詳細な作用機序を調べるために、バングルにより神経分化を誘導した培養細胞においてRNAを抽出し、細胞内の遺伝子発現の変化を包括的に解析した。その結果、バングルの作用により免疫に関わる因子や、コレステロールとリン脂質の制御に関わるタンパク質のmRNAについて遺伝子発現が変動していることを発見した。この結果は定量リアルタイムRT-PCR法によっても再確認できた。この発見は神経分化と免疫、もしくは神経分化とコレステロールやリン脂質代謝を結びつける新しい研究成果だと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経分化と免疫や脂質代謝を結びつける新規概念を提出する可能性のある研究成果を得たため。
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今後の研究の推進方策 |
バングルによる遺伝子発現の変動の結果を複数の手法により確認する。さらに神経分化と免疫、脂質代謝を結びつける総合的な研究へと発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により学生が大学に登校できない日が多く、予定していた研究が本年度にずれこんだため。
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