研究課題
(A)マウスモデルによるワクチン効果の評価:ワクチン効果を評価するために必要なPfCSPならびにルシフェラーゼ共発現型遺伝子組換えネズミマラリア原虫Pb-Luc(ダブルトランスジェニック原虫)の作出に成功した。Pb-Luc原虫のスポロゾイトをマウス静脈内に投与したところ、24時間後に肝臓においてルシフェラーゼの発現をIn vivo imaging systemで確認することができた。今後の感染実験に必要とされるバキュロウイルス、アデノウイルスならびに組換えタンパクについて精製を行った。(B)ワクチンが誘導する免疫応答解析:種類の異なるワクチンの組み合わせならびにワクチン投与のタイミングが及ぼす免疫応答への影響について研究を進めている。初回免疫から追加免疫までの期間をあけることでワクチン効果が上昇することを確認した。バキュロウイルスを筋肉内に接種すると血中サイトカインレベル(特にインターフェロン)が発現上昇することが明らかとなった。マラリア原虫スポロゾイトはヒトに侵入が最初に肝臓に感染するが、DNAマイクロアレイ解析の結果、バキュロウイルスを接種したマウスの肝臓細胞においてインターフェロン応答性の種々の遺伝子発現が増強されることを見出した。(C)製造プロセスの検討と品質管理:イオン交換クロマトグラフィーを用いたバキュロウイルスの精製については条件検討の段階にある。品質管理の条件検討するために必要な長期間保存用のバキュロウイルスサンプルについて精製を行った。
2: おおむね順調に進展している
作出が困難と考えていたダブルトランスジェニック原虫の作出に成功し、ワクチン効果判定用の材料が準備できた。肝臓におけるDNAマイクロアレイ解析も順調に進展しており、ワクチンによる免疫応答のメカニズムにせまれる研究ができたと思われる。
ワクチン免疫後のマウスについて、引き続き血清を採取して液性免疫応答の変動を調べる。初回免疫と追加免疫のそれぞれのワクチンの組み合わせとその感染防御効果について、チャレンジ感染実験を行い明らかにする。DNAマイクロアレイのデータをもとにバキュロウイルス免疫時に特異的に肝臓で誘導される遺伝子群の同定を行う。製造プロセスの検討についてはイオン交換クロマトグラフィーで精製後のサンプルについて電子顕微鏡で形態学的な検討を行う。
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