研究課題
骨を吸収する破骨細胞における分泌リソソームの分子機構の解析を進めている。これまでに、分泌リソソームに局在するV(液胞型)-ATPaseのa3イソフォームが、分泌リソソームの細胞膜への輸送に必須であること、リソソーム輸送因子であるGDP型(不活性型)Rab7を細胞質から分泌リソソームへリクルートすること、さらに、Rab7のGEF(GTP/GDP交換因子)として知られるMon1/Ccz1と結合できることなどを示した。今年度は、a3、Mon1、Ccz1、それぞれについて、結合する最小ドメインを同定した。この情報をもとに構造解析を進めたいと考えている。また、a1、a2、a3イソフォームの機能的相補性を検討した。a3KO破骨細胞にa1あるいはa2を強制発現させて、各イソフォームの局在とリソソームの細胞内輸送、骨吸収活性をみたところ、a1とa2は、本来局在しているオルガネラの他に、分泌リソソームにわずかに局在し、細胞膜への輸送を引き起こした。また弱い骨吸収活性を示すことがわかった。さらに、a3より弱いものの、a1とa2もRab7と結合できることを示した。以上の結果から、a3以外のイソフォームでも、通常より強く発現させれば、a3の機能を一部代替できることがわかった。さらに、オルガネラ輸送におけるaサブユニット イソフォームの役割をより包括的に理解するために、各イソフォームと小胞輸送因子の結合について網羅的に解析した。その結果、a2イソフォームは、GDP型のRab27と強く結合することを見出した。Rab27は、インスリン顆粒の細胞内輸送において重要であることが知られている。今後は、インスリン顆粒の輸送におけるa2イソフォームの役割についても解析を進める。
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