ある種の学習は、生後の限られた臨界期にしか習得できない。ニワトリヒナを用いて、孵化後2,3日に限られる刷り込み学習の臨界期を開く因子が、甲状腺ホルモン(T3)であることを発見した。一方、アクチン重合因子の活性阻害剤が、T3と同様に臨界期を開くことを見出した。このことから、T3が作用すると、神経微細構造でのアクチン重合状態が変化しているのではないかと考えられた。2光子起レーザ走型微鏡を用い、ヒナを生かしたまま大脳の神微細構造を解析した。その結果、T3投与後1-3時間では、神経細胞 のアクチンフィラメントの重合を解除し、 重合の進んだスパインの割合が増加することが明らかとなった。
|