ストレス応答は、熱ショックタンパク質(Hsp)の発現を介して細胞の恒常性維持に寄与する。一方、癌細胞において、Hspは温熱や薬剤に対して抵抗性を引き起こすことから治療の妨げとなる。本研究では、熱ストレスによるStat3のリン酸化を介した活性化とその意義として癌細胞における温熱耐性獲得へのStat3のリン酸化やHsp105の関与を明らかにした。さらにStat3活性化は、癌細胞の生存や転移浸潤に寄与することから、熱ストレスが転移浸潤の亢進や上皮間葉転換を誘導する可能性について検討した結果、熱ストレスにより転移細胞数の増加が観察され、この熱による転移能亢進へのStat3の活性化の関与が示唆された。
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