研究課題/領域番号 |
18K06689
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
坂本 謙司 帝京大学, 薬学部, 教授 (80317065)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 薬理学 / 緑内障 / micro RNA / 神経興奮毒性 / N-メチル-D-アスパラギン酸 |
研究実績の概要 |
昨年度N-メチル-D-アスパラギン酸硝子体内注入により作製した緑内障モデルマウスの網膜において,リアルタイムRT-PCRにより同定した,発現量が上昇していた3種のmicroRNAについて,microRNA inhibitorを用いた機能抑制実験を行った.実験には,網膜神経節細胞に蛍光タンパク質であるECFPを発現させたトランスジェニックマウスを使用した.両眼の硝子体内にmiR inhibitor Negative Controlあるいは同定したmicroRNAの inhibitor (いずれも10 pmol/eye)を投与した.その18時間後に,片眼にN-メチル-D-アスパラギン酸(40 nmol/eye),反対眼に生理食塩水を硝子体内投与した,N-メチル-D-アスパラギン酸または生理食塩水投与7日後に眼球を摘出した.網膜フラットマウント標本を作製し,共焦点レーザー顕微鏡を用いて視神経乳頭付近の領域0.2mm2の画像を取得しECFP陽性細胞の残存率を求めた.今回用いた3種のmicroRNA inhibitorのうちの2種はN-メチル-D-アスパラギン酸投与7日後における網膜神経節細胞の脱落を有意に抑制し,残りの1種もmicroRNA inhibitorもN-メチル-D-アスパラギン酸による神経傷害を抑制する傾向を示した.この結果は,N-メチル-D-アスパラギン酸の投与により増加するmicroRNAの機能を抑制することにより網膜神経節細胞を保護することができる可能性や,これらのmicroRNAの発現変動が神経変性に関与している可能性を示唆している.さらに,免疫組織化学を用いた検討により,今回の実験で着目したmicroRNAのターゲット遺伝子の候補をいくつか明らかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り,N-メチル-D-アスパラギン酸硝子体内注入により作製した緑内障モデルマウスにおいて,昨年度同定したmicroRNAの機能阻害実験を行い,同定したmicroRNAのinhibitorの網膜神経保護効果を明らかにできたため.また,同定したmicroRNAの標的候補分子も明らかにすることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
明らかにできたmicroRNAの標的候補分子の機能を阻害することにより同定したmicroRNAのinhibitorの網膜神経保護効果を抑制できるかどうか調べ,microRNAの標的候補分子が本当に真の標的であるかを明らかにする. また,応募者が同定したPde6aに変異を有するRPモデルマウスであるC57BL/6J-Pde6anmf363/nmf363の網膜においても,microRNAの機能阻害実験あるいは補充実験を行い,緑内障モデルマウスと同様の検討を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 年度内に納入予定の試薬が,商品在庫や輸入手配の都合により次年度に購入することにしたため. (使用計画) 研究計画の実施に必要な試薬や消耗品を購入する.
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