研究課題/領域番号 |
18K06694
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
尾崎 恵一 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50252466)
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研究分担者 |
福永 理己郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (40189965)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ERK-MAPキナーゼ / p38-MAPキナーゼ / Mnkキナーゼ / BRAF / MEK阻害剤 / HDAC阻害剤 |
研究実績の概要 |
ERK-MAPキナーゼ経路の恒常的活性化を特徴とするがん細胞において、MEK阻害剤により本経路を特異的に遮断することによって、がん細胞のHDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害剤に対する感受性が大幅に増強される併用効果について研究をこれまで進めてきた。本研究課題では、ERK1/2やp38-MAPKによって活性化され、タンパク質の翻訳開始の制御にかかわるタンパク質キナーゼ(大阪薬科大学福永理己郎教授の発見された)Mnk1/2(MAPK-interacting kinase1 and 2)に焦点をあてた。Mnk1/2は、そのダブルノックアウトマウスに異常が見られないなど生存に必須とは言えず、阻害剤による副作用がより少ないERK下流のがん分子標的として期待されることから、その可能性について検討した。 BRAF-V600E変異を有しERK1/2経路の恒常的活性化が見られる大腸がん細胞株(HT29, WiDr, Colo205)等に対して、BRAF阻害剤、ERK1/2阻害剤、または4種類のMnk1/2阻害剤とHDAC阻害剤との併用効果を、これまでのMEK阻害剤PD184352との併用と比較した。その結果、BRAF阻害剤、ERK1/2阻害剤については、MEK阻害剤併用以上の効果が得られ、顕著に細胞死を誘導した。一方、4種類のMnk1/2阻害剤については、ほとんど影響のないものと細胞死誘導を増強する併用効果を示すものに分かれた。Mnk1/2のがん分子標的としての可能性についてさらなる検討を加えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学研究室を異動することになったため
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今後の研究の推進方策 |
新しい研究室において、早急にMnk阻害剤とHDAC阻害剤の併用効果について、そのメカニズム解明のための解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学研究室異動のため出来なかった薬物処理時の細胞内シグナル分子解析を、異動先にて行う予定。
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