研究課題/領域番号 |
18K06699
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 郁尚 大阪大学, 薬学研究科, 招へい准教授 (70600097)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | TRPチャネル / TRPA1 / TRPV1 / TRPV3 / TRPV4 |
研究実績の概要 |
コロイド状態のアルミニウムについてTRPA1、TRPV1への作用がないことをパッチクランプ法にて確認した。また、pH依存的に硫酸アルミニウムカリウムのコロイド粒子が大きくなることをゼータ電位計により確認し、中性であるほどコロイド粒子の平均粒子径が大きくなっていた。つまり、これまでの結果と合わせると、硫酸アルミニウムカリウムはコロイド粒子ではTRPA1,V1に反応しないため、イオンが非常に少ない中性pHではTRPA1、V1抑制効果が低く、酸性pHではイオン濃度が高くTRPA1、V1活性抑制効果が高くなったと考えられる。また、アルミニウムイオンは表皮角化細胞に発現する温度感受性TRPチャネルのTRPV3及びV4に影響を及ぼさない結果をカルシウムイメージング、及び、パッチクランプ法を用いて得られていたが、TRPM4には活性化させる作用があることを見出している。そこで、表皮ケラチノサイトを重層化させて3次元培養皮膚へのアルミニウムイオンの作用と、皮膚温度の関係を調べるため表皮の環境温度を模した培養システムを構築した。そのシステムを用いることによって、培養皮膚の基底膜が浸されている底部温度と、空気に暴露されている表層の温度勾配を5度以上設定することが出来る。その培養システムによって、より皮膚環境に近い条件において、表皮の分化マーカーの発現が全て37度の条件とは異なってくることが分かってきた。そのシステムを用いて、アルミニウムイオンの皮膚への影響を確認したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の計画は、TRPV3、TRPV4への作用が室温短時間暴露では確認されなかったことから、当初計画とは変更し、3次元培養皮膚の培養条件を通常の37度条件ではなく、皮膚環境に近い表皮の表面と底面で温度勾配が存在する試験条件を検討することとした。当初予定にはなかった、培養システムの構築プロセスに時間を要したが、その分今年度にそのシステムを用いたアルミニウムイオンの表皮への影響を確認することが出来る。
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今後の研究の推進方策 |
新たに構築した温度勾配を有した表皮3次元培養のシステムにおいて、アルミニウムイオンの影響とその分子メカニズムをTRPチャネルに焦点を当てて、明確にする。また、ヒト被験者への硫酸アルミニウムカリウムの痛み抑制効果についても検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3次元培養皮膚を用いた実験計画を変更したため。
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