アルミニウムイオンによるTRPA1、V1の抑制効果が、硫酸アルミニウムカリウムだけでなく、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムナトリウムでも同様に確認された。また、明晩温泉に含まれる金属イオンについてはTRPA1、V1を抑制する効果がないことを確認した。また、TRPA1の抑制作用のIC50値が103 uMであることを確認し、TRPV1の抑制作用(IC50値が246 uM)より強いことを確認した。さらに、アルミニウムイオンによるTRPM4の活性化シングルチャネル電流が、既報告と同様であることを確認できた。更に、ヒト被験者への硫酸アルミニウムカリウム水溶液(酸性pH)を毎日一回の使用を一ヶ月続けた結果、皮膚の状態が向上する傾向が得られた。期待された皮膚バリア機能の向上は見られなかったが、水分量についてはアルミニウム連用による効果が得られた。さらに、毛穴の収斂効果や、肌の色の明色化も確認された。一方、表皮ケラチノサイトを重層化させて3次元培養皮膚へのアルミニウムイオンの作用と、皮膚温度の関係を調べるため、表皮の環境温度を模した培養システムについて、培養方法、及び、培養器の特許を出願することができた。温度勾配を実現するために、低温インキュベーターの中に温度ヒーターの上に、閉塞した培養ディッシュを設置すると、低温に暴露された培養ディッシュでの天面に水滴が付くことが培養上の問題となったが、水滴予防の方法を見出すことが出来た。
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