研究課題/領域番号 |
18K06707
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
前田 武彦 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50271010)
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研究分担者 |
長谷川 拓也 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (80813287)
川原 浩一 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (10347015)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胆汁うっ滞 / TRPチャネル / そう痒 |
研究実績の概要 |
胆汁うっ滞性掻痒の発現機序を明らかにする研究を行ってきた。これまでにガストリン放出ペプチド(GRP)が一次感覚神経にて発現相加することを見いだしたが、皮膚組織においてもmRNA発現が増加することを見いだした。一方、TRPチャネルは、急性かゆみ行動に関連する一次感覚神経の侵害受容器として注目されているが、慢性胆汁うっ滞性そう痒症モデルにおけるTRPチャネルの関与はあまり研究されていない。そこで、胆汁うっ滞性モデルマウスの後根神経節及び表皮におけるTRPチャネルのmRNA発現をRT-PCRにて評価したところ、後根神経節ではTRPA1およびTRPV4が増加したが、表皮ではTRPV4の発現低下がみとめられた。この発現変化に伴う痒み行動における機能的意義を明らかにする目的で、胆汁うっ滞性そう痒モデルマウスを用いてTRPA1およびTRPV4の痒み行動への関与を検討した。野生型については雄性C57BL/6株マウス、TRPA1ノックアウトマウス(A1KO)及びTRPV4ノックアウトマウス(V4KO)を実験動物として用いた。肝臓の右葉と尾状葉をつなぐ胆管のうち2本を絹糸で結紮した(BDL)。マウスの後肢による自発的な引っ掻き行動を、かゆみ行動の指標として観察した。BDL処置野生型マウスの引っ掻き行動は、野生型対照群(偽手術群)と比較して、BDL術後5週目に有意に増加した。BDL誘発性引っ掻き傷行動は、野生型と比較してA1KOで有意に減少した。この結果は、TRPA1が胆汁うっ滞性そう痒モデルにおける引っ掻き行動への関与を示唆する。一方、偽手術V4KOマウスにおける引っ掻き行動の回数は野生型偽手術群に比べて多かったが、BDL処置V4KOマウスの引っ掻き行動の回数は野生型偽手術群に比べて統計的に有意な差はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の仮説とは異なる結果となったこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響による輸入実験動物の手配および納期の遅れがあったため、進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
胆汁うっ滞性掻痒モデルの痒み発現における責任分子や責任細胞が一部明らかになったことから、現在、コンディショナルノックアウトマウス等を用いて、個体レベルで表現型を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の仮説とは異なる結果となったこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響による輸入実験動物の手配および納期の遅れがあったため、進行が遅れ、次年度繰越となった。胆汁うっ滞性掻痒モデルの痒み発現における責任分子や責任細胞が一部明らかになったことから、次年度は、コンディショナルノックアウトマウス等を用いて、個体レベルで表現型を確認する予定である。
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