研究課題/領域番号 |
18K06708
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
河下 映里 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (80509266)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 再生 / 神経新生 / α2アンチプラスミン / 線溶 |
研究実績の概要 |
脳傷害や中枢神経変性疾患に対する再生治療法の確立に向けて、ES細胞やiPS細胞由来神経幹細胞などの移植実験が試みられているが、移植細胞の生着率が極めて低いことが問題となっている。その生着性の向上には、移植後の神経―血管間微小環境の構築を促し、血管新生とそれに伴う神経新生を亢進させる必要がある。本研究では、神経再生治療における移植細胞の生着性の向上を目指し、線溶系因子の一つであるα2アンチプラスミンが、神経―血管間での微小環境の構築を調節し、血管新生および神経新生を制御することを実証することを目的としている。令和元年度では、α2アンチプラスミンが神経新生を制御する因子であることを明確にした。また、ES細胞由来神経前駆細胞をα2アンチプラスミン欠損マウスおよび野生型マウスに移植し、移植細胞の生着性に対するα2アンチプラスミン欠損の影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、神経再生治療における移植細胞の生着性の向上を目指し、α2アンチプラスミンが血管新生および神経新生を制御することを実証することを目的としている。平成30年度および令和元年度の2年間で、α2アンチプラスミンが神経新生を制御することを明確にし、さらに移植細胞の生着性に対するα2アンチプラスミン欠損の影響を明らかにした。令和二年度では、α2アンチプラスミンの脳血管形成における役割を明らかにする予定であり、研究は当初の計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和二年度では、移植後のES細胞由来神経前駆細胞の成熟化に対するα2アンチプラスミン欠損の影響を、各神経系細胞型マーカーを用いた免疫染色により明らかにする。また、脳血管形成におけるα2アンチプラスミンの役割を明らかにするため、α2アンチプラスミン欠損マウスおよび野生型マウスの脳血管形態を比較し、さらにプラスミンの分解標的となるラミニンなどの細胞外基質やVEGFなどの血管新生促進因子の発現量を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に申請者の所属研究室で所有していた試薬を使用して実験を行ったため、当初の見込額と執行額が異なったが、全体の研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの研究計画を進める。
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