研究課題
本年度はブチル酸誘起過敏性腸症候群の発症にカンナビノイドCB2受容体を多く発現するマクロファージが関与するかについて検討を行い、さらに我々のグループが新たに同定したT型カルシウムチャネル阻害薬6-prenylnaringenin (6-PNG) およびCB1受容体刺激薬ACEAが本モデルにおける結腸過敏および関連痛覚過敏を抑制するかについて明らかにした。蛍光免疫染色法により、ブチル酸投与マウスの結腸および脊髄後根神経節 (DRG) におけるマクロファージ集積を確認したところ、投与開始3日後のマウスの結腸組織およびDRGにおいてコントロール群と比較してマクロファージ数の増加が認められたが、投与開始6日後では変化が見られなかった。さらに、ブチル酸誘起結腸過敏および関連痛覚過敏の発症は、マクロファージ/ミクログリア阻害薬ミノサイクリン、マクロファージ枯渇薬リポソーム化クロドロネートにより阻止された。一方、結腸痛成立後にミノサイクリンを投与しても無効であった。また、6-PNGの腹腔内投与は、ブチル酸誘起結腸過敏および関連痛覚過敏を著明に抑制した。一方、ACEAは、ブチル酸誘起結腸過敏には抑制効果を示したが、関連痛覚過敏には無効であった。以上のことからブチル酸誘起過敏性腸症候群の発症にマクロファージが関与する可能性が示唆された。さらに、ブチル酸誘起結腸過敏および関連痛覚過敏にT型カルシウムチャネル阻害薬が有効であることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
ブチル酸誘起過敏性腸症候群の発症にマクロファージが関与することが明らかとなった。さらに、ブチル酸誘起過敏性腸症候群モデルにおける結腸過敏および関連痛が6-PNGにより抑制されることが明らかになった。
ブチル酸誘起過敏性腸症候群の発症にマクロファージが関与することが明らかになったことより、マクロファージ上に発現が多くみられるCB2の刺激薬が結腸過敏および関連痛覚過敏を抑制するかについて検討を行う。また、6-PNGが結腸過敏および関連痛覚過敏を抑制したことから、6-PNGの誘導体KTt-45の効果について検討を行う。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)