研究課題/領域番号 |
18K06716
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
朱 シュウ 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (20377360)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | Salacia / Genetic analysis / ITS sequence / biodiversity / Chemical evaluation |
研究実績の概要 |
抗糖尿病、抗肥満、肝保護作用があると報告され、健康食品素材として注目されている「サラシア」は、Hippocrateaceae科Salacia属植物の根や幹である。本研究は資源調査と共に遺伝的・成分的なアプローチによる解析により、中国産Salacia属植物の有用性を明らかにすることを目的としている。 遺伝子解析の研究においては、中国産Salacia属植物2種について、核DNAのInternal Transcribed Spacer(ITS)領域及び葉緑体DNAのtrnK-rps16 Intergenic Spacer領域の塩基配列を解析した。これまでに解析した7種の同両領域の塩基配列との比較を行った。両領域において種内多型があったものの、各種に特徴的な塩基配列が認められた。ITS領域の塩基配列に基づいて系統樹を構築した結果、9種の分子系統関係を明らかにした。 また、健康食品の原料として利用される主なSalacia属植物薬用種3種を簡便に同定できるPCR-RFLP法を確立した研究結果を論文にまとめ、発表した。 成分的研究においては、これまでSalacia属特徴的な成分として報告されているsalacinol (1)、kotalanol(2)、ponkoranol(3)、salaprinol(4)及び脱スルホン化合物neosalacinol(5)、neokotalanol(6)、 neoponkoranol(7)、neosalaprinol(8)の8成分について既報のLC-MS分析条件を用いて分析を行った。中国産3種について、含有される成分の種類及び部位別の含有成分の差異を確認できた。また、遺伝子解析によりS. chinensisと同定された市販の健康食品3製品に1、5~8の5成分が検出された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外でのフィールド調査とラボワークが必要であるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で渡航できず、研究遂行が遅れた。 そのため、研究期間の延長申請を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
遺伝子解析により明らかにした分子系統関係をインデクスにして、外部形態の観測・整理及び成分組成の比較を引き続き行う。 研究結果の取りまとめ、論文作成を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
一部の研究が遅れ、研究期間の延長を行ったため、未執行であった額を繰り越すこととした。 繰り越した分を研究試薬、分析カラムの購入費などとして使用し、効率的な研究ができるよう努める。
|