研究課題
令和3年度では、これまで調査できた中国産Salacia各種について外部形態の観察・整理を行い、植物分類学の文献記載との比較を行った。本属植物の分類・同定は難しく、花や果実の形態が重要であるが、それらに関する文献データの欠如や、調査時に花と果実の形態を確認できないものもあった。雲南省東南部と南部に分布している数種については、外部形態的に文献データと一致しない点が多いため、中国産Salacia属植物における分類学上の整理の必要性が示唆された。遺伝子解析の研究においては、核DNAのInternal Transcribed Spacer(ITS)領域の塩基配列により構築した系統樹から、雲南省東南部産の2種及び海南省産1種がインド産のS. oblongaと近縁であることが示唆された。遺伝子解析により構築した分子系統関係をインデクスにすることで、分類学上の整理に有益な知見を与えた。現在遺伝子解析と外部形態の結果をまとめ、論文作成している。成分的解析では、NMRによる成分プロファイリング分析方法を確立するため、異なる測定溶媒による成分プロファイリング、中国産3種について種間及び部位別の成分プロファイルの差異を比較した。1H NMRスペクトルにおいて、類似成分のシグナルの重なりにより明確な成分同定が困難であった。現在2D NMR(2D 1H-13C HSQCスペクトル)を用いるより詳細な成分プロファイリングを解析できる方法を検討している。
4: 遅れている
新型コロナウイルス感染症の影響により、海外でのフィールド調査ができなかった。
遺伝子解析及び外部形態の調査についての研究結果をまとめ、論文作成を行う。引き続き各種の成分パターンの比較を行う。
一部の研究が遅れ、研究期間の延長を行ったため、未執行であった額を繰り越すこととした。繰り越した分を研究試薬・器具の購入費、成果の取りまとめ、調査研究費などに使用する予定である。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件) 学会発表 (4件)
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