本研究は資源調査と共に遺伝的・成分的なアプローチによる解析により、中国産Salacia属植物の有用性を明らかにすることを目的としている。 令和5年度では、中国広東省でサラシアの資源探索に関する現地調査を行い、中国南部最大の生薬市場である「清平中薬材市場」で資源状況に関する聞き取り調査を実施した。植物園で保存されているSalacia sessilifloraは、核DNAのInternal Transcribed Spacer(ITS)領域の塩基配列に基づいて構築した系統樹において、これまで解析した雲南省南部に分布しているS. obovatilimbaとクレードを形成し、最も近縁であることを明らかにした。遺伝子解析の結果により、中国産Salacia属8種は大きく3グループに分けられた。海南省産S. chinensisは、インドおよびスリランカ産同種およびS. reticulataと同じクレードに属し、他の種と大別された。S. chinensis以外の7種はさらに2グループに分けられ、中の1グループはインドおよびスリランカ産S. oblongaと同じクレードに属した。
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