研究課題/領域番号 |
18K06722
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
黒田 明平 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (80266890)
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研究分担者 |
三宅 克典 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (20597687)
松尾 侑希子 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70434016)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 特定外来植物 / アルドースレダクターゼ / 腫瘍細胞毒性 / オオキンケイギク / カルコン誘導体 / フラボノイド誘導体 |
研究実績の概要 |
特定外来植物から医薬品シーズとなる化合物を探索するため、以下に示す通りに特定外来植物1)~7)を採取した。以下、植物和名(部位)と採集地である。 1)ナガエツルノゲイトウ(地上部、根)、静岡県賀茂郡、2)アレチウリ(地上部)、東京都日野市、3)オオフサモ(茎葉)、東京都日野市、4)オオハンゴンソウ(頭花、茎葉、地下部)、長野県佐久市、5)オオカワジシャ(全草、根)、東京都日野市、6)オオキンケイギク(花、茎葉、地下部)、東京都日野市、7)ナルトサワギク(草部、根)、徳島県。 採取した植物の各使用部位について、メタノールを用いて熱時抽出し、メタノール抽出物を調製した。各抽出物について、抗生活習慣病薬のシーズ探索を目的としてアルドースレダクターゼ(以下、AR)阻害活性、および抗悪性腫瘍薬のシーズ探索を目的としてSBC-3 ヒト肺小細胞がんに対する細胞毒性を評価した。その結果、オオキンケイギク(花、茎葉)とオオフサモ(茎葉)のメタノール抽出物に AR 阻害活性(200 μg/mLにおいて阻害率が50%以上)が認められた。さらに、TLC分析によりオオキンケイギクの花のメタノール抽出物に多数のスポットが確認されたため、同抽出物について成分探索を実施した。 オオキンケイギク花(乾燥重量 270 g)のメタノール抽出物(270 g)を多孔質ポリスチレン樹脂 Diaion HP-20 カラムクロマトグラフィーに付し、20%メタノール、エタノール、酢酸エチルと順次極性を下げながら溶出させ、3個の粗画分を得た。このうち、エタノール溶出画分に強い AR 阻害活性が認められたため、同画分について詳細な成分探索を行った。その結果、1種のカルコン誘導体、3種のフラボン誘導体、および1種のオーロン誘導体を単離した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度に予定していた研究内容と比較し、採取できた特定外来植物の種類が少なかった。理由として、採取に最適な時期が重複し、採取できる種類に制限がかかったことが挙げられる。その反省を踏まえ、次年度(2年目)においては、繁殖期を詳細に把握し、採取出来ていない特定外来植物(ミズヒマワリ、ブラジルチドメグサ、オオバナミズキンバイ、スパルティナ・アングリカ、ボタンウキクサ、アゾラ・クリスタータ)を優先的、かつ、効率的に採取する予定である。また、特定外来植物の抽出物に対して、AR阻害活性とSBC-3 ヒト肺小細胞がんに対する細胞毒性の評価しか来なかった。理由として、研究対象である全特定外来植物の抽出物を調製後、一斉に活性評価することを予定していたことが挙げられる。次年度(2年目)の早い段階において、調製できた全特定外来植物の抽出物に対し、上記2種を含む複数の生物活性について評価する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)初年度に採取できなかった特定外来植物(ミズヒマワリ、ブラジルチドメグサ、オオバナミズキンバイ、スパルティナ・アングリカ、ボタンウキクサ、アゾラ・クリスタータ)を採取後、抽出物を調製し、活性評価を行うことで、成分探索を実施する植物を選定する。 2)AR 阻害活性を示したオオキンケイギク花のメタノール抽出物(270 g)について、引き続き成分分離を実施し、単離した化合物の構造決定およびAR阻害活性を評価し、新規糖尿病合併症治療薬のシーズ化合物の探索を行う。 3)TLC 分析の結果、ナガエツルノゲイトウ根のメタノール抽出物に多数のトリテルペン配糖体様のスポットが確認されているため、同抽出物の成分探索の実施する。
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