研究課題/領域番号 |
18K06737
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
廣森 洋平 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (60515956)
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研究分担者 |
井戸 章子 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (00336629)
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50303988)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 核内受容体 / RXR / EcR / RACE法 |
研究実績の概要 |
我々は、付着生物であるフジツボにおいて核内受容体ecdysone receptor (EcR)およびretinoid X receptor (RXR)が変態などの生活環を制御しており、有機スズ化合物がRXRを介してこの制御機構をかく乱することで、付着防止作用を示しているのではないかという作業仮説を立てた。本研究では、海洋生物に優しい防汚剤の開発を将来的な目標として、フジツボのEcRおよびRXRに着目した有機スズ化合物の付着防止作用メカニズムの解明することを目的としている。本年度は、未だ配列が未解明であるフジツボEcRおよびRXRの配列解明およびそのクローニングを行った。 核内受容体は、DNA結合領域(DBD)が各生物種間で最も良く保存されている領域であるため、その部分をPCRにより増幅を試みた。その結果、EcR、RXRともに増幅に成功し、遺伝子配列データベースと比較したところ、いずれもEcR、RXR様である事が確認された。引き続き、3'RACE法により得られた配列から3'側の未知配列の同定を行った。検討の結果、3'側の未知配列の同定に成功し、リガンド結合領域(LBD)に相当する予想される配列を明らかにすることが出来た。さらに、5'RACE法により残りの未知配列の解明を試みたが、想定されたPCRの増幅が起こらなかった。そこで、PCR条件の最適化、使用するRNAサンプルの精製を行った。その結果、PCR像副産物を得ることが出来たが、解明できた配列は一部にとどまった。以上をまとめると、本年度の検討によりフジツボEcRおよびRXR配列の大部分を、解明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、フジツボEcRおよびRXR配列の同定を行い、その大部分を明らかにすることが出来た。5'側の未知配列の解明が完了していないが、LBDに相当する部分の配列は解明できているため、リガンドに対する親和性、応答性評価は可能となっているため、研究の進捗は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、フジツボEcR、RXRの5'側の未解明配列の同定を進め、タンパクコード領域の全長配列を明らかにする。また、LBD部分を明らかに出来ているため、LBD配列を組み換えタンパク質発現用プラスミドに組み込み、組み換えタンパク質を作成し、リガンド親和性評価および抗体作成を進める。同様に、EcR/RXRヘテロ二量体の応答配列であるecdysone response elementsを連結したレポーター遺伝子(ルシフェラーゼを用いる)を発現するプラスミドを作成し、リガンド応答性についても評価を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた要因としては当初の想定よりもフジツボEcR、RXRの配列解明がスムーズに進んだことにより、使用する試薬や器具の購入が少なくてすんだことが考えられる。 生じた予算に関しては、フジツボEcR、RXRの5'側未知配列の解明が思うように進まなかった場合に、新たに試薬を購入する費用に充てる予定である。
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