セリ科植物に特有の害虫であるキアゲハの幼虫が含有するエリシター化合物を検索するため、その吐き戻し液を詳細に分析して、リノレン酸が多量に濃縮されていることを明らかにした。セリ科薬用植物であるボウフウ葉に刻みを入れ、リノレン酸を塗布してエリシター活性を検証したところ、リノレン酸投与後α-pineneなどの植物の間接防御に関与する揮発性成分の放出が確認された。さらに、リノレン酸を長期に投与した植物でfalcarinolやbergaptenの含有量が増加することが明らかとなった。これらの結果から、キアゲハ幼虫とセリ科植物の特徴的な化学生態学的関係が明らかとなった。
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