研究実績の概要 |
2019年度大学より支弁された学術研究助成金により再度マダガスカルに赴き、本研究で使用する植物の採集を行った。初回の遠征で採集した植物で、有望なものについて増量を行った。採集植物は植物体ではなく現地の共同研究機関がメタノールエキスにして送付していただいた。マダガスカル固有植物、Rhodoleana bakerianana(Sarcolaenaceaeマダガスカル固有)のメタノールエキス(本エキスのA549細胞に対する阻害活性はIC50で18.1 microgram/mLであった。)は常法に従いダイアイオンHP-20、シリカゲルカラムクロマトグラフィー及びHPLCを用いて成分の分離精製をし、2種の単一成分を分離した(1,2)。本化合物についてNMR等のスペクトルを解析を行い化学構造を決定した。化合物1は4.0mgえられ、スペクトル解析の結果、kaempherolの3-Oガラクトピラノシドでそのガラクトースの2位と6位にp-クマール酸をえエステル結合していた。既知化合物ではあったが、比較的珍しい構造を有している。化合物2も既知化合物であったが、3,3',5'-trihydroxy-5,4'-methoxyflavoneであった。 同様にして、Omphalea oppositifolia(トウダイグサ科)からは比較的珍しいrosane骨格を有するジテルペンが5種得られている。1種は既知であることが判明したが、他の4種は文献未記載の新規化合物と推測され、現在、その絶対構造も含めて構造の詳細な検討を行っている。 その他、Meineckia orientalis(コミカンソウ科)からはメガスティグマンの配糖体がエピマーの混合部として得られ、今後、その分離を試みる予定である。また、Mystroxylon aethiopicum(ニシキギ科)からもメガスティグマン配糖体が得られている。
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