研究課題
ヒト腎臓に発現している有機アニオントランスポーターOATP4C1は、臨床で使用されている多くの薬物と相互作用することから(J. Pharmacol. Exp. Ther., 362:271-277, 2017)、種々薬物の腎排泄に関与している可能性が大きい。OATP4C1と強く相互作用したHIVプロテアーゼ阻害薬とキノロン系抗菌薬に関する追加検討を実施した。さらにCOVID-19治療薬レムデシビルおよびその代謝物であるGS-441524とOATP4C1との相互作用について知見を得るための解析を実施した。HIVプロテアーゼ阻害薬6種(ロピナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、サキナビル、リトナビル、ダルナビル)について検討し、ロピナビル、サキナビル、リトナビルはOATP4C1輸送に対し濃度依存的な阻害効果を示し、IC50値はサキナビル<リトナビル<ロピナビルであった。その他の化合物の阻害効果は弱いものであった。また、リトナビルおよびサキナビルは、OATP4C1の新規輸送基質となることを明らかとした。また、キノロン系抗菌薬3種(レボフロキサシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン)について検討した結果、いずれもOATP4C1輸送を濃度依存的に阻害し、阻害の強さはノルフロキサシ<レボフロキサシン=シプロフロキサシンであった。続いて、レムデシビルおよびGS-441524との相互作用について検討した。レムデシビルが濃度依存的にOATP4C1を介した輸送を阻害した(IC50=42μM)ものの、GS-441524はOATP4C1輸送に影響を与えなかった。また、OATP4C1安定発現細胞株およびヒト腎近位尿細管上皮細胞由来株HK-2を用いた検討から、レムデシビルがOATP4C1の輸送基質となることが明らかとなった。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Life Sciences
巻: 269 ページ: 119043
10.1016/j.lfs.2021.119043
Biomedical Chromatography
巻: 35 ページ: e5067
10.1002/bmc.5067
Clinical Transplantation
巻: 34 ページ: e14088
10.1111/ctr.14088
Prostaglandins, Leukotrienes & Essential Fatty Acids
巻: 159 ページ: 102139
10.1016/j.plefa.2020.102139
巻: 34 ページ: e4853
10.1002/bmc.4853
https://www.yuhp-yaku.com/