研究実績の概要 |
抗てんかん薬ラモトリギンの主要な体外排泄経路は、UGT1A4による代謝物であるグルクロン酸抱合体の尿中排泄である。従って、UGT1A4活性を反映するバイオマーカーはラモトリギンクリアランス予測に有用である可能性がある。本研究では、バイオマーカーを用いたラモトリギン体内動態の予測基盤を確立することを目的とした。昨年までに、UGT1A4の内因性基質である25-hydroxyvitamin D3 (25-OH-VD) およびUGT1A4による代謝産物である25-hydroxyvitamin D3 3-glucuronide (25-OH-VD-glu) の血中濃度比をUGT1A4活性予測のバイオマーカーとして見出し、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置 (LC-MS/MS)を用いた定量系を構築した。一方、ポジティブモードおよびネガティブモードを併用した定量系であり、迅速性および感度に改善の余地が残されていた。本年は、上記の改善を目的とし、誘導体化を検討した。ヒト血漿をstrata-Xを用い固相抽出し、4-phenyl-1,2,4-triazoline-3,5-dione (PTAD) によって誘導体化後、LC-MS/MSを用い、ポジティブモードでPTAD-25-OH-VDおよびPTAD-25-OH-VD-gluの検出を試みた。その結果、20分の測定時間で25-OH-VDおよび25-OH-VD-gluを同時に定量できる測定系を開発することができた。25-OH-VDおよび25-OH-VD-gluのヒト血漿中濃度は、日本人では20 ng/mL程度であることが報告されている。開発した測定系の定量下限は1 ng/mLであり、測定感度は十分であると判断した。以上により、UGT1A4活性のバイオマーカーを測定する基盤を構築することが出来た。
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