研究課題/領域番号 |
18K06750
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐能 正剛 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 助教 (00552267)
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研究分担者 |
古武 弥一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 教授 (20335649)
太田 茂 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 名誉教授 (60160503)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝再生 / 薬物代謝酵素 / トランスポーター / 肝臓 / 小腸 / 薬物動態 / 毒性 |
研究実績の概要 |
肝臓がんの治療において、腫瘍摘出のために、肝臓の再生機能を期待した肝切除術がなされることが多い。肝再生の間も、様々な薬物治療がなされるが、術後の肝機能低下による薬物動態変化や副作用発現の可能性を考慮に入れた個別化薬物療法の実践が求められる。本研究課題では、肝切除マウスを用いて、肝再生過程における肝臓と小腸に局在する薬物代謝酵素やトランスポーターの発現における臓器間連携の可能性に着眼した。その中で、肝再生中のこれらの発現における臓器間連携メカニズムを解明していく。その上で、肝再生過程における薬物動態に与える影響や肝毒性発現の可能性を予測し、最適な薬物治療アプローチを提案することを目的とする。 当該年度は、(1)肝再生過程において肝臓、小腸に発現する薬物代謝酵素、トランスポーターの発現変化を調べ、これらの臓器間連携の可能性を探ること、および肝臓と小腸における臓器間連携に関わる因子を探索し、そのメカニズムを解明することに注力をおいて研究を行った。 肝切除マウスを用いて、肝再生過程における肝臓、小腸における薬物代謝酵素(シトクロームP450, CYP)の発現を見たところ、肝臓だけでなく小腸においても発現が増加するCYP分子種が観察された。また、肝臓と腸管を循環している胆汁酸濃度変化を調べた実験や、肝切除マウスに胆汁酸を投与した実験から、これらの肝臓と小腸の発現変化には、胆汁酸が一部関与していることが分かった。今後、詳細なメカニズムを探索しながら、CYPの発現変化に伴う薬物動態変化も評価していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝切除マウスを用いて、肝臓の再生期間中の肝臓および小腸における薬物代謝酵素やトランスポーターの発現変化をとらえることができた。その中で、肝再生過程において、肝臓や小腸において薬物代謝酵素の発現が増加するものがあり、これは肝臓を切除したことによる代償的な誘導であることが示唆された。また、この変化には胆汁酸が一部関与している可能性がある。 さらには、マウスに与える食餌の違いが再生速度に影響を与え、薬物代謝酵素の発現変化のプロファイルが異なってくることも示唆された。以上の知見は、論文に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
肝再生速度を遅延させるような因子は、肝機能を低下させる要因となり、肝切除患者の食事療法や薬物治療によって、肝毒性が惹起される可能性もある。今後は肝再生速度に影響を与える食餌中の成分、内在性化合物や医薬品成分を探索し、肝再生機能に与える影響とそのメカニズムを調べていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、肝切除マウスを用いたin vivo研究とメカニズム解明のための肝細胞を用いたin vitro研究を並行した形での研究を考えていたが、まずはin vivo研究に注力し論文にまとめたこともあり、次年度使用額が生じた。次年度は、その分in vitro研究について注力したいと考えている。
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