研究実績の概要 |
本研究では、CYP2C9, CYP2C19, OATP1A2, OATP2B1 を介した相互作用に個人差をもたらす遺伝的要因を定量的に解明することを目的に、これらの遺伝的バリアント (アミノ酸 変異を伴うもの) の代謝/輸送活性に対する各種飲食物成分の阻害特性を定量的に評価する。 今年度は、CYP2C19に関してはアミノ酸変異を伴う6種の遺伝的バリアント CYP2C19.1A, .1B (I331V), .8 (W120R), .10 (I331V, P227L), .23 (I331C, G91R), .23-91R (G91R) の大腸菌発現系を構築し、そのキネティクス評価を完了させた。また、野生型に関して果汁成分 (resveratrol, 6',7'-dihydroxybergamottin, bergamottin) による阻害様式を定性的に、また阻害強度を定量的に解析した。現在、変異型に対する阻害様式および阻害強度の解析を進めている。 OATPs に関しては、変異型を各 5 種類 (OATP1A2: c.38 T>C, c.382 A>T, c.516 A>C, c.559 G>A, c.2003 C>G, OATP2B1: c.43 C>T, c.601 G>A, c.644 A>T, c.935 G>A, c.1457 C>T) クローニングし、レトロウイルスベクター (pAmpho) を用いてHEK293 細胞へ導入することで、各種OATPsの遺伝的バリアントを発現したHEK293を作製することに成功した。さらに、野生型 OATP1A2およびOATP2B1については、estrone-3-sulfate の輸送キネティクスを検討し、いずれも二相性の輸送特性を示すことを明らかにした。さらに、それらに対する pH の影響についても検討を行った。その結果、pH 7.4と比較してpH 6.3では輸送活性が亢進し、その原因は高親和性輸送に対する基質親和性の上昇で説明できる可能性が示された。 現在、飲食物成分の阻害作用について検討を開始している。
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