妊娠中にドキソルビシンを使用することの安全性を確認するために、薬物動態学的観点から解析した。妊娠中期のマウスにドキソルビシンを投与し、母体から胎児へと移行したドキソルビシン量の経時変化と分布を解析した結果、妊娠マウスに ドキソルビシンを投与すると、投与直後から高濃度で胎児に存在していた。また、ドキソルビシン投与24 時間後の胎児では、脳、肝臓及び消化管に高濃度であった。さらに、ドキソルビシンを投与した母親から生まれた子供は、顕著に発育の悪かった。さらに、本研究では、ドキソルビシンのリポソーム製剤DOXILに着目し、その有用性を検証したところ、胎児への移行性が低いことが明らかとなった。
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