研究実績の概要 |
1) 2-nitroimidazoleに1,3-cyclopentenedioneやtrifluoromethylを付加しTX-2036誘導体を作成。1,3-cyclopentenedione S-体(TX-2044,-2031,-2037)はR-体(TX-2043,-2030,-2036)より高放射線増感能を示した。Trifluoromethyl R-体TX-2045がS-体TX-2046より高増感能を示した。R-体TX-2030とS-体TX-2031を比べても配座エネルギーに差異はなく、他誘導体もR-,S-体で配座エネルギーに差異はなかった。R-体TX-2030、S-体TX-2031も配座依存的疎水性変化は確認できなかった。他誘導体もR-,S-体で疎水性度に差異はみられなかった。ESPはTX-2030,-2031ペア、TX-2036,-2037ペア、TX-2043,-2044ペアのうち増感能の弱い方に1,3-cyclopentenedioneに極小負フィールドが発生した。 2) Chiral-2-nitroimidazole TX-2036誘導体は立体異性(R-,S-体)依存的にEGF受容体kinase(EGFR-tyk)を阻害した。EGFR-tykはリガンド結合ポケットを有しTX-2036誘導体の結合を確認した。R-体(TX-2043, -2030, -2036)がS-体(TX-2044, -2031, -2037)と比べ高いEGFR-tyk阻害を示した。標的アミノ酸残基はR-誘導体ではEGFR-tyk Lys721およびThr766 残基であり、S-誘導体では標的アミノ酸残基が個々で異なった。 3) CDCは4ドメインで構成されコレステロールを受容体として認識した。CDC単体が標的細胞膜のコレステロールに結合し膜上にオリゴマーを形成後、オリゴマー構造の変化を経て膜を貫通した。Streptococcusが産生する一部のCDCは多機能性を有した。CDC遺伝子はStreptococcus、Clostridium、Listeriaなど多くのグラム陽性菌に分布するが、多機能性CDC遺伝子はStreptococcusの2グループStreptococcus mitis、Streptococcus pseudopneumoniaeに存在した。多機能性CDCは5ドメインで構成され、追加ドメインが通常ドメインのN末端に存在した。多機能性CDCは膜コレステロール、ヒトCD59を受容体として認識した。
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