研究実績の概要 |
本年度の実施計画は、①CDDP 1 cycle (CDDP単回投与+3週間休薬)終了時の亜慢性腎毒性(sub-chronic kidney injury: sCKI)のdose-response曲線を得る、および②CDDP 3 cycle反復した際のsCKI予測の実証実験を行う、であった。 ①に関して、CDDP投与量として0, 1, 2, 3, 4, 5, 6.25, および7.5 mg/kgで単回投与(各投与量群 n=5~6)した後、経日的に採血した。day 15~21の平均クレアチニンを投与前のクレアチニン値で除した上昇率をsCKIとして評価した。結果、次式の回帰式が得られた:sCKI (%)=98.6*exp(0.111*dose), r2=0.991. 本検討で、単回投与(1 cycle終了時)でのsCKIのdose-response曲線を得ることができた。しかし、群内変動が大きい投与群(CV%=21.9%)もあり、余力があれば例数を追加して精度を上げたい。 ②に関して、当初計画通りCDDP 3 cycleを、各cycleの投与量に基づき、同用量を反復するA群(3 mg, 3mg ,3mg)、漸増するB群(1 mg, 3 mg, 5mg)および、漸減するC群(5 mg, 3 mg, 1 mg)の3群において、随時sCKIを測定し、①の結果より任意のcycle、任意の投与量におけるsCKIが予測可能なのかを検討した。結果、概ねsCKIが予測可能なことが示されたが、sCKIだけではなく骨髄抑制が副作用として疑われる個体が観察され、これによりsCKIの予測が妨害されている可能性が考えられた。従って、より正確にsCKIを評価する為に、体重およびヘマトクリット値を追加検討する予定である。
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