これまでに得られた成果は、急性期と慢性期アレルギー症状の薬物体内動態変動を引き起こす要因を明らかにしている。今回、急性および慢性アレルギー疾患で消化管に局在する肥満細胞が肝シトクロムP450代謝酵素活性への効果を検討した。その結果、消化管の肥満細胞は活性化されず、一酸化窒素を放出しないことが明らかとなった。また、肝臓のkupffer細胞の活性化能を調べると、mRNA量および貪食作用に変化は見られなかった。このことから、急性アレルギー疾患は、消化管以外に局在する肥満細胞が活性化され、放出される一酸化窒素が肝シトクロムP450代謝酵素活性を直接的で持続的に抑制することで、代謝律速型薬物の体内動態を顕著に変化させることが判明した。
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