本研究では、新規のpH応答性ポリマー結合型ブラジキニン(P-BK)を創製した。P-BKは、血漿ペプチド分解酵素に対して抵抗性を示し、腫瘍組織などの酸性環境においてBKと同等の活性を示すLev-BKを放出した。C26皮下移植がんモデルマウスにP-BKを投与したところ、腫瘍への流入血液量が約1.7倍上昇し、腫瘍への高分子性抗がん剤の蓄積量が約3倍増加した。P-BKと高分子性抗がん剤を併用投与することにより、顕著な副作用を起こすことなく、腫瘍の増殖を有意に抑制し、生存率の延長をもたらした。これらの結果は、P-BKが高分子性抗がん剤の腫瘍集積性を増強できる優れた併用薬であることを示唆している。
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