研究実績の概要 |
炎症反応(CRP)が、CYP2C19によるVRCZの代謝活性 [N-ox体/VRCZ(N/V)] に及ぼす影響について調査した。CRP 4.0 mg/dL未満の患者(非炎症時、n = 30)においては、CYP2C19 EM、IMおよびPM間でN/V中央値に有意差が認められた(2.59 vs. 2.18 vs. 0.80、P = 0.002)。一方、CRP 4.0 mg/dL以上の患者(炎症時、n = 18)においては、有意差が認められなかった(0.77 vs. 0.81 vs. 0.78、P = 0.991)。非炎症時では、VRCZのPKはCYP2C19遺伝子多型の影響を受けるが、炎症時では、CYP2C19 EMおよびIMの本代謝活性が低下し、N/Vに有意差が認められなくなると考えられる。本機序として、炎症反応に伴うプレグナンX受容体の誘導作用が低下したと予想される。 上記に加え、CYP3A5*3 (rs776746, c.6986A>G)、NR1I3 (rs2307424, c.540C>T)、NR1I2 (rs6785049, A>G)、NR1I2 (rs3814057, A>C)、NR1I2 (rs7643645, A>G)、NR1I2 (rs2276707, C>T)、NR1I2 (rs2472677, C>T)、NR1I2 (rs3814055, C>T)、POR*28 (rs1057868, G>A)、FMO3 (rs2266780, A>G)およびFMO3 (rs2266782, G>A)の遺伝子多型がN/Vに及ぼす影響についても検討した。多変量解析において、CYP2C19遺伝子多型およびCRPに加え、NR1I2遺伝子多型の1つに独立性が認められた。非炎症患者において、CYP2C19遺伝子多型別に、本NR1I2遺伝子多型間のN/Vについて、さらなる比較を行う予定である。
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