研究課題
本年度は、CYP2C19、CYP3A5、フラビン含有モノオキシゲナーゼ3、CYPの発現や活性に関与する核内受容体のプレグナンX受容体(PXR、NR1I2)、構成的アンドロスタン受容体、電子伝達系補酵素のP450オキシドレダクターゼの遺伝子多型、及び炎症反応が、ボリコナゾール(VRCZ)とN-oxide体(VNO)の代謝レシオ(VNO/VRCZ)及びVRCZのトラフ濃度(C0h)に及ぼす影響について検討を行った。重回帰分析の結果、C反応性タンパク(CRP)が4.0 mg/dL未満の患者(n = 34)において、VNO/VRCZ に影響を及ぼす独立因子は、CYP2C19*1/*1遺伝子多型、1回あたりの投与量、及びNR1I2 rs3814057 C/C遺伝子多型であった。また、VRCZ C0hに影響を及ぼす独立因子は、これら3要因に加え、NR1I2 rs7643645 G/G、及びNR1I2 rs3814055 T/T遺伝子多型であった。一方、CRPが4.0 mg/dL以上の患者(n = 22)において、VNO/VRCZ及びVRCZ C0hに影響を及ぼす独立因子は特定されなかった。炎症反応が正常あるいは弱い(CRP<4.0 mg/dL)患者群では、PXRが正常に発現していたことが予想されるため、NR1I2遺伝子多型間でCYP2C19の発現量に差が認められ、さらには、CYP2C19遺伝子多型間で、VNO/VRCZやVRCZ C0hに差が認められたと考えられる。一方、炎症反応が強い(CRP≧4.0 mg/dL)患者群では、IL-6などの炎症性サイトカインの影響により、PXRの発現量が低下し、さらには、CYP2C19の発現量も低下していたことが予想されるため、これらの遺伝子多型間で、VNO/VRCZやVRCZ C0hに差が認められなかったと考えられる。
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Pharmacology Research & Perspectives
巻: 10 (2) ページ: e00935
10.1002/prp2.935