米国では、単群試験結果に基づいて迅速承認取得された抗癌剤が毒性等の問題で市販後の比較試験で既存の標準治療と比較した優越性が示されないという案件が目立ち始めたことを受けて、2023年3月にFDAが、"Clinical Trial Considerations to Support Accelerated Approval of Oncology Therapeutics"というタイトルのドラフトガイダンスを発出している。このドラフトガイダンスは単群試験結果のみに基づく迅速承認についてこれまでよりも保守的な運用をしていくという方針を示唆している。その一方で、比較的患者数が少ない血液悪性腫瘍では、単群2相試験に基づく薬事承認が行われるかどうかが各国の承認時期に大きな影響を与える。そこで米国で薬事承認された血液悪性腫瘍に対する薬剤について、日本の開発状況を調べたところ、特に2相試験結果を基に米国で薬事承認された品目で日本が当該試験に参加していないために承認時期が遅くなっている傾向が明らかになり、この研究成果を2023年度に日本血液学会学術集会で発表するのみならずJapanese Journal of Clinical Oncology誌に掲載することができた。また、これまでの研究を通して、本研究成果を次の研究に発展させるための視点として、条件付き承認取得後の検証試験が条件付き承認対象の治療ラインと同一であるかどうか、条件付き承認に資する早期試験の開発主体が大手製薬企業なのかどうか、が重要であることが明らかとなったため、次に獲得した科研費を用いて次の研究を実施することとした。
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