研究課題
抗腫瘍性抗体などの腫瘍局所における持続的産生と安全な系の樹立によって、がん治療効果促進さらに医療経済的問題解決の一助とし、創薬におけるプロバイオティックス活用の広がりと菌/宿主共存の機序解明への貢献を目的として研究を行った。成果として、1)DDSに用いるビフィズス菌の生菌はE.coliなどに比べ弱いながらも自然免疫、樹状細胞やマクロファージを活性化させることができること、死菌(オートクレーブ もしくはUV照射で滅菌)では免疫活性化能が顕著に低下することを再確認した。2)B菌の培養上清(今回はRPMIで1日培養したもの)だけでは、免疫賦活作用はほとんど無いことを認める一方、死菌+培養上清をいれると部分的に免疫賦活作用が認められるので、何らかの機序で免疫活性化させる分泌蛋白質(同定を試みている)があると考えられた。3)TLR欠損マウス由来の樹状細胞やマクロファージを用いることで、主としてB菌が樹状細胞を活性化する経路はTLR2であることを認めた。4)TLR2を活性化するB菌由来分子に対しB菌の変異分子産生株の作成、あるいは未同定の分泌分子の欠損株を作成するこで、免疫監視機構を逃れ、安定して腫瘍内に着床し抗がん性分子産生菌が得られる可能性を得た。5)免疫活性化するB菌分泌分子についてはライブラリーを構築したので、B菌の分泌分子についてLS/MSで同定できた分子情報も合わせて、今後、遺伝子操作を駆使し安全かつ腫瘍内に効率よく着床するB菌の創生するための基盤構築が進捗した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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