研究課題/領域番号 |
18K06782
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
寺田 智祐 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10324641)
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研究分担者 |
池田 義人 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (40736980) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 個別医療 / ファーマコゲノミクス検査 / 臨床データベース / 有用性検証研究 |
研究実績の概要 |
ファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics: PGx)検査は、薬物の代謝酵素などの遺伝子変異を解析することで、薬物の効果や副作用の予測が可能となることから、患者個々に合わせて最適な薬剤選択、投与量調節を行う個別化医療の実現に向けた有益なツールとして期待されている。 本研究では、滋賀医科大学病院(以下、当院)において運用している電子カルテシステムに連動したPGx検査データベースを活用し、実臨床におけるPGx検査結果と治療効果の関係性の評価を行っている。以下にその概要を示す。 クロピドグレルは、薬物代謝酵素であるCYP2C19により代謝を受けて活性化されることにより、抗血小板作用を呈するプロドラッグであり、その治療効果はCYP2C19の遺伝子多型により大きく左右されることが知られている。Clinical Pharmacogenetics Implementation Consortium (CPIC) のガイドラインにおいては、CYP2C19の代謝活性が低下する遺伝子変異を有する症例で、プラスグレル等の代替薬の使用が推奨されている。 本研究では、当院において抗血小板薬処方時にCYP2C19の遺伝子多型の測定が行われた1580名を対象とした後ろ向きの解析を実施した。抗血小板薬として、クロピドグレルまたはプラスグレルが投与された患者について、血栓や出血といった有害事象のイベント発生率を比較したところ、プラスグレルでイベントの発生率が低い傾向にあり、特に、CYP2C19の機能が低下する遺伝子多型を保有する患者群ではその傾向が顕著に見られた。以上、実臨床においても、抗血小板療法時におけるCYP2C19遺伝子多型検査の有用性を示唆する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、電子カルテ情報及びデータベースを活用したレトロスペクティブ研究により一定の成果を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、レトロスペクティブ研究により一定の成果を得たことから、更なる詳細解析に加え、プロスペクティブ臨床研究へと進めることを予定しており、当初の計画からの変更はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
・購入した試薬の費用が当初の計画よりも少なく済んだため。 ・参加を予定していた学会が新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催取りやめとなり、旅費・参加費が発生しなかったため。
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