研究課題
がん微小環境で生じる抗がん剤耐性機序を解明することを目的に研究を行っている。抗がん剤耐性の耐性については、がん細胞への抗がん剤の取り込みの減少、がん細胞の薬剤排出亢進、アポトーシスの減少、生存シグナルの活性化など多岐にわたる。がん微小環境関連での抗がん剤耐性因子の1つとして、がん幹細胞の存在がある。プレート表面を特殊加工して細胞が接着できない条件でがん細胞を培養すると、がん細胞のほとんどは死滅するが、がん幹細胞と考えられる一部の細胞はsphereを形成することから、がん幹細胞のモデルとして使用される。今回、付着したコントロール細胞とプレート表面を特殊加工して細胞が接着できない条件で培養したがん幹細胞様細胞とで遺伝子発現を比較したところ、ABCA1、ABCA12、ABCC2、ABCC5といったトランスポーターの遺伝子発現の亢進が認められた。また、interleukinの遺伝子発現をコントロール細胞とプレート表面を特殊加工して細胞が接着できない条件で培養したがん幹細胞様細胞とで網羅的に比較したところ、interleukin(IL)-1β、IL-11、IL-15、IL-23A、IL-24の遺伝子の発現亢進が、がん幹細胞様細胞集団で認められた。トランスポーターやサイトカインの発現亢進が種々の抗がん剤耐性に寄与している可能性があり、引き続きがん幹細胞モデルを用いて機能解析を実施する。
2: おおむね順調に進展している
プレート表面を特殊加工して細胞が接着できない条件でがん細胞を培養すると、sphereを形成することから、がん幹細胞のモデルとして使用されている。このモデルを用いて解析が実施できており、概ね順調である。
がん幹細胞モデルや低酸素条件を用いて、抗がん剤耐性機序の解析を行う。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件)
Eur J Hosp Pharm
巻: e1 ページ: e7-e11
10.1136/ejhpharm-2018-001663
Biol Pharm Bull
巻: 42 ページ: 4129-4136
10.1248/bpb.b19-00486
Anticancer Res
巻: 39 ページ: 4129-4136
10.21873/anticanres.13571
巻: 42 ページ: 833-836
10.1248/bpb.b18-00859