研究課題
現在、がん微小環境で生じる抗がん剤耐性機序を解明することを目的に研究を行っている。抗がん剤耐性の機序については、がん細胞への抗がん剤の取り込みの減少、がん細胞の薬剤排出亢進、アポトーシスの減少、生存シグナルの活性化など多岐にわたる。がん微小環境関連での抗がん剤耐性因子の1つとして、がん幹細胞の存在がある。プレート表面を特殊加工して細胞が接着できない条件でがん細胞を培養すると、がん細胞のほとんどは死滅するが、がん幹細胞と考えられる一部の細胞はsphereを形成することから、がん幹細胞のモデルとして使用される。今回、付着したコントロール細胞群とプレート表面を特殊加工して細胞が接着できない条件で培養したがん幹細胞様細胞群とで遺伝子発現を比較したところ、がん幹細胞様細胞群でインターロイキン32(Interleukin-32、IL-32)の遺伝子発現の亢進が認められた。また、頭頚部がん細胞株(KB3-1細胞)に抗がん薬のシスプラチンを付与するとIL-32の遺伝子発現が亢進した。さらに、シスプラチン耐性細胞株は、IL-32の遺伝子発現が亢進していた。引き続き、がん幹細胞様細胞集団でのIL-32の役割、IL-32の抗がん薬耐性との関与に関して機能解析を実施する。
2: おおむね順調に進展している
プレート表面を特殊加工して細胞が接着できない条件でがん細胞を培養すると、sphereを形成することから、がん幹細胞のモデルとして使用されている。このモデルを用いて解析が実施できており、概ね順調である。
がん幹細胞モデルを用いて、抗がん剤耐性化機序の解明を行う。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件)
Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics
巻: 47 ページ: 260-262
10.1111/jcpt.13496.
巻: 46 ページ: 1796-1799
10.1111/jcpt.13425.
Cancers
巻: 13 ページ: 4643
10.3390/cancers13184643.
日本病院薬剤師会雑誌
巻: 57 ページ: 771-775
Pharmaceuticals
巻: 14 ページ: 353
10.3390/ph14040353.
医薬品情報学
巻: 23 ページ: 38-46