研究課題/領域番号 |
18K06789
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
頭金 正博 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (00270629)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ナショナルレセプトデータベース / 周術期 / スタチン |
研究実績の概要 |
周術期にスタチンを投与することにより術後の心血管イベントのリスクが減少するとの報告がある。そこで、本研究ではナショナルレセプトデータベース(NDB)を用いて、周術期のスタチン投与と術後心血管イベント発生との関連性を評価することを目的とした。 NDBより平成27年7月~平成28年9月に心臓手術あるいは非心臓手術を受けた患者を全て抽出し、処方データ等からスタチン曝露群と非曝露群に分けた。曝露群と非曝露群間で年齢や性別等の患者背景因子を調節し、術後30日以内に発症した虚血性心疾患発症や死亡件数を算出し、相対リスク比を求めた。 心臓手術群について、術前30日から術後30日の期間にスタチンを投与された群は非投与群に比べて虚血性心疾患発症に関する相対危険度は1.38であった。一方、スタチン投与期間を術前30日以内に限定した場合は、スタチンを投与された群は非投与群の虚血性心疾患発症に関するは相対危険度は1.07と低くなり、スタチン投与期間を術前のみとした条件の方が心血管系イベントの発症リスクが低くなった。また、死亡率はスタチンの投与期間にかかわらず相対危険度が1以下となり、スタチン投与群の方が術後30日以内の死亡率が低下した。以上の結果から、心臓手術では、術後よりも術前にスタチンを投与することにより術後の虚血性心疾患の発症が抑制されることがわかった。また、術前後に関わらず、スタチン投与によって術後死亡率が有意に減少することが示唆された。 NDBを用いて、医薬品の有効性を評価する場合、暴露群と非暴露群の患者背景要因の調整を行った上で、適切なエンドポイントを設定することが重要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
厚労省より提供されたナショナルレセプトデータベースを利用して、スタチンによる心血管イベントのリスクを定量的に解析し、一定の研究成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きナショナルレセプトデータベースを利用して糖尿病関連疾患に用いられる医薬品の有効性について、網羅的に検討する。また、最終年度は糖尿病関連治療薬による副作用に関してもナショナルレセプトデータベースを利用して解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は周術期のスタチンの有用性について、仮のエンドポイントを2種類設定して有効性を評価したが、集計作業が予想より膨大でそれ以上の解析が行えなかった。そのため、次年度使用額が生じた。2020年度はについては、これまでの経験を活かして、集計作業量を適切に見積もり、エンドポイントをさらに増やして解析し、当初予定していた研究成果を得たいと考えている。
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