研究実績の概要 |
本研究では、ナフィオンを用いた交互累積膜に薬物を取り込ませ電気刺激に応じて薬物が放出されるシステムを確立することで、機能性薄膜を用いた新規電気刺激応答型薬物放出デバイスの開発を目的としている。初年度では、予定通りナフィオンで構成された交互累積膜を調製した。ナフィオンで構成された交互累積膜は中性溶液にてインスリンを内包することが可能であり、強酸性もしくはアルカリ性溶液にて緩やかな放出がみられた (K. Yoshida, et. al. Preparation of nafion/polycation layer-by-layer films for adsorption and release of insulin. polymers. 2018, 10, 812)。 ナフィオンと対として用いられるポリカチオン種としてポリエチレンイミンやデンドリマーを用いた交互累積膜も試みている。交互累積膜を構成する材料は自由に選択できるため、カウンターに用いるポリカチオンを変えることで薬物の放出速度を変化させることができると考えている。 一方、このようなポリカチオン種はナフィオンの様に薬物の貯蔵庫として扱うことができるのではないかと申請者は考えた。ポリエチレンイミンやデンドリマーは網目状の陽イオン性高分子であり、アニオン性薬物の取り込みが優位となりえる。申請者はこれら特性を生かした薄膜の調製、過酸化水素応答性を有する薄膜も同時に開発を試みている(K. Yoshida, et. al. Preparation of microparticles capable of glucose-induced insulin release under physiological conditions.polymer s. 2018, 10, 1164、K. Yoshida, et. al. Preparation of hydrogen peroxide sensitive nanofilms by layer-by-layer technique. nanomaterials. 2018, 10, 1164)。
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