研究課題
フロモキセフ(FMOX)、セフメタゾール(CMZ)は、extended spectrum beta-lactamase(ESBL)産生大腸菌に対し優れた抗菌活性を有することがin vitro実験で示されているが、その作用様式並びにpharmacokinetics/pharmacodynamics(PK/PD)パラメータは未だ明らかになっていない。本研究ではin vitro実験により作用様式を検討し、さらに好中球減少マウス大腿部感染モデルを用いてESBL産生大腸菌に対するFMOX、CMZのPK/PD評価を行った。2018年度にマウスにおけるFMOX、CMZのPKパラメータ、2019年度にFMOXのESBL産生大腸菌に対する目標PK/PDパラメータ値を明らかにした。2020年度はCMZのin vitro、in vivo PK/PD試験を実施した。ESBL産生大腸菌に対するMICを寒天平板希釈法で測定した結果、MICは2μg/mLであった。In vitro実験においてCMZの濃度を2~128μg/mLとしてESBL産生大腸菌に添加しその生菌数を経時的に評価した。FMOXは時間依存的に効果を示すことが明らかとなった。In vivo試験において、CMZの投与によるマウス大腿部における生菌数の減少と各PK/PDパラメータの相関性を検討した。相関係数はTAM、AUC/MIC、Cmax/MICでそれぞれ0.71、0.49、0.09であり相関係数はTAMが最も高かった。静菌効果、最大殺菌効果を達成する目標TAM値はそれぞれ55.0%、69.6%であった。本研究より、CMZはESBL産生大腸菌に対して時間依存的に効果を示しその目標PK/PDパラメータ値としてTAM≧70%が推奨された。これまでにFMOX、CMZの臨床血液検体を蓄積している。さらに例数を増やし母集団薬物解析を実施する。
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Pharmaceutical Research
巻: 38 ページ: 27-35
10.1007/s11095-020-02977-8.