研究課題/領域番号 |
18K06796
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
黄倉 崇 帝京大学, 薬学部, 教授 (80326123)
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研究分担者 |
平田 圭一 帝京大学, 薬学部, 助手 (80424852) [辞退]
中谷 絵理子 (林絵理子) 帝京大学, 薬学部, 助教 (90803916)
赤下 学 帝京大学, 薬学部, 助教 (90781542)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 過活動膀胱治療薬 / 認知機能障害 / ムスカリン受容体 |
研究実績の概要 |
医薬品副作用データベース(JADER)を用いて抗コリン薬の認知症関連有害事象のシグナル検出を行ったところ、オキシブチニン、ソリフェナシン、イミダフェナシン、プロピベリン、トルテロジンはシグナル検出されたが、フェソテロジンはシグナル検出されず、フェソテロジン服用と認知症との関連は示されなかった。 抗コリン薬の脳移行性および脳内ムスカリン受容体占有をラットを用いたインビボ実験により評価した。フェソテロジンの活性本体の5-ヒドロキシメチルトルテロジン(5-HMT)の脳/血漿濃度比はきわめて低値を示し、脳移行性が低いことが示された。ムスカリン受容体リガンドの3-キヌクリジニルベンジレート(QNB)を用いて5-HMTの脳内ムスカリン受容体占有率を測定した。5-HMT投与による有意なQNBの特異的結合の減少はみられず、5-HMTによる脳内ムスカリン受容体占有はほとんどみられなかった。以上の結果から、フェソテロジンは活性本体の脳移行性が低く、脳内ムスカリン受容体をほとんど占有しないため、認知機能障害リスクが低い可能性のあることが示された。 さらに薬局企業が保有する薬剤服用歴情報を用いた過活動膀胱治療薬の認知症発症リスク調査を、本学医学系研究倫理審査委員会の承認(TUIC-COI 21-0855)を受けて実施中であり、薬物間で認知症発症リスクが異なる結果を得ている。また、ヒトムスカリン受容体占有率をモデリング解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画よりやや遅れていいるものの、上記研究成果が得られており、この遅れは次年度挽回できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
インビボ実験とデータサイエンス手法を組み合わせた解析により、次年度の研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2021年度購入予定であった消耗品費が当初予算よりも低予算で済んだため、次年度使用額が発生した。 (使用計画)次年度使用額(888,239円)については、消耗品費として使用する予定である。
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