研究課題/領域番号 |
18K06796
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
黄倉 崇 帝京大学, 薬学部, 教授 (80326123)
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研究分担者 |
平田 圭一 帝京大学, 薬学部, 助手 (80424852) [辞退]
中谷 絵理子 帝京大学, 薬学部, 助教 (90803916)
赤下 学 帝京大学, 薬学部, 助教 (90781542)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 過活動膀胱治療薬 / 認知症 / ムスカリン受容体 |
研究実績の概要 |
薬剤服用歴情報を活用した過活動膀胱治療薬の認知症発症リスク評価と、認知症発症リスクの薬物側因子の解明により新規抗コリン負荷評価系の開発を目指し、本研究で薬剤服用歴情報を用いて過活動膀胱治療薬の認知症発症リスクを解析できる可能性のあること、過活動膀胱治療薬の脳移行性・脳ムスカリン受容体占有率が認知症発症リスクの薬物側因子となる可能性が下記の通り示唆された。 過活動膀胱治療薬の認知症発症リスク解析のため、株式会社サンドラッグに来局した55歳以上の患者の薬剤服用歴情報を基に後方視的に調査を行った。過活動膀胱解析対象薬剤は抗コリン作用を持つ過活動膀胱治療薬6剤とし、認知症発症は認知症治療薬の初回処方時と定義した。過活動膀胱治療薬と認知症の関連性はオッズ比(OR)及び95%信頼区間(95% CI)により評価した。解析対象者は172,958名で症例群と対照群におけるORおよび95%CIに有意差が認められ、抗コリン薬による認知症発症リスクの上昇が認められた。 認知症発症リスクの薬物側因子解析のため、過活動膀胱治療の血液脳関門透過性と脳ムスカリン受容体占有率をラット脳微小透析法およびインビボ受容体結合実験法により測定した。その結果、フェソテロジンの活性本体である5-hydroxymethyltolterodine (5-HMT)の脳/血漿非結合形濃度比(Kp,uu)は0.05で、5-HMTは脳から血液に能動的に排出輸送されることが示された。5-HMTの脳ムスカリン受容体占有は、臨床血漿中濃度においてほとんどみられない一方、オキシブチニン投与による顕著な脳ムスカリン受容体占有がみられた。以上の結果から過活動膀胱治療薬間で脳移行性と脳ムスカリン受容体占有率が異なることが示され、これらが認知症発症リスクの薬物側因子となる可能性が示された。
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