研究課題
次世代型ワクチンとして期待されている粘膜ワクチンではあるが、粘膜面は免疫応答を誘導しがたいために実用化されているものは限られている。この要因として、粘膜面は上皮層によって抗原のような高分子の通過が制限されていることが挙げられる。本研究は、一酸化窒素(NO)が経粘膜吸収性の低い化合物の吸収性を促進することに着目し、一酸化窒素供与体(NOD)と抗原を経粘膜投与することによって抗原の粘膜固有層への送達が可能となると考えた。これまでの検討で、NODであるニトロプルシド(SNP)とモデル抗原であるオボアルブミン(OVA)をマウスへ経鼻投与したところ、抗原特異的粘膜IgA産生および血清IgG産生の亢進がみられた。さらに本活性は、NOを発生しないアナログであるフェロシアン化ナトリウムではほぼ見られなかった。さらにSNPによる抗原特異的粘膜IgA産生および血清IgG産生の亢進メカニズムを探索したところ、SNPの経鼻投与により局所でIL-6などの粘膜免疫を亢進する液性因子や免疫細胞の遊走がみられた。2021年度では下記の検討をおこなった。【様々なNODによる抗原特異的抗体産生】SNPによる抗原特異的抗体産生亢進作用がNOの生体内での発生を介しているか確かめる目的で、他のNODを用いて活性を評価した。これらの検討の結果、用いたNODは抗原特異的抗体産生誘導能を有することが明らかとなった。したがって、NODの経鼻投与による抗原特異的抗体産生誘導能はNOの発生を介している可能性が示唆された。【SNPと抗原の経鼻投与後による抗原の局在の検証】次に、SNPの併用経鼻投与が粘膜固有層への抗原デリバリーを促進するかどうかを検討した。その結果、SNPの併用により抗原の粘膜固有層への送達が促進していることが明らかとなった。
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Pharmaceutics
巻: 13 ページ: 585~585
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https://www.ps.toyaku.ac.jp/yakubutsusotatsu/