研究課題/領域番号 |
18K06799
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
伊藤 清美 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (60232435)
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研究分担者 |
工藤 敏之 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (10584815)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 薬物相互作用 / 生理学的薬物速度論モデル |
研究実績の概要 |
臨床において、バルプロ酸併用によりラモトリギンの血中濃度が上昇する事例が報告されている。本研究では、生理学的薬物速度論モデルに基づく血中濃度推移のシミュレーションを行い、グルクロン酸転移酵素によるラモトリギンの肝代謝に対するバルプロ酸の阻害により本相互作用を定量的に説明できるか否かを検討した。 バルプロ酸及びラモトリギン各々単独経口投与時の血中濃度推移を再現できる薬物動態パラメータを算出し、それらを併用した臨床相互作用報告における投与設計を想定して両薬物の血中濃度推移のシミュレーションを行った。ソフトウェアとして、簡易的な生理学的薬物速度論モデルに基づく薬物相互作用シミュレーションソフト DDI Simulator (富士通九州システムズ) を使用した。ラモトリギン代謝に対するバルプロ酸の阻害定数 (Ki) として、ヒト肝ミクロソームでの報告値 (in vitro Ki) およびシトクロムP450阻害において有用性が確認されている補正値 (predicted in vivo Ki) を用いた。 In vitro Kiを用いた場合、バルプロ酸併用による血中ラモトリギン濃度の上昇はほとんど認められなかった。Predicted in vivo Kiを用いることにより予測精度の向上が認められ、シトクロムP450と同様にグルクロン酸転移酵素の阻害においてもin vivoとin vitroのKi値に乖離がある可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グルクロン酸転移酵素の阻害に起因する薬物相互作用を生理学的薬物速度論モデルに基づいて予測する場合、シトクロムP450の阻害と同様に、in vitroの阻害定数をそのまま使用すると過小評価される可能性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
臨床で報告されている薬物相互作用の事例について、引き続き同様の検証を進め、生理学的薬物速度論モデルに基づく薬物相互作用解析のためのin vivo酵素阻害パラメータ推定方法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
In vitro薬物代謝試験に使用する試薬等の経費が予定より低く抑えられたため、未使用額が生じた。次年度も引き続き、主にin vitro薬物代謝試験に使用する予定である。
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